昨日は東京ネットラジオ「楠木かんた理屈こnet!!」の収録でした。
毎回収録後には写真を撮るんですが、ビジュアルで売ってるわけでもなければめちゃくちゃ面白い顔ができるというわけでもないので難しいんです。こういうの。結果さまぁ〜ずさんの宣材写真みたいになります。
全然関係ない話になりますが、2年くらい前にやっていたluggageというユニットでギターを弾いてくれた前田くんと、久々に飲んでいろんな話をしました。主に音楽の話ばっかりでしたが。
彼はサラリーマンになりましたが、新しくバンドを組んで、売れ次第会社なんか辞めちゃうって素敵な話をしてくれました。
同じく音楽をやっていても考え方が違うとこはたくさんあります。
僕なんかは曲が全然かけませんから、歌詞を書くってなればいろいろいろいろ考えます。研究もします。
前田くんは曲ができたら、メロディーに合う詞が乗っていくしかない、という感覚派のようでした。
まぁ好きな歌詞、ワード、フレーズみたいなものはひとそれぞれあると思いますが
最近僕が気になっているワードがあります。
それは「冷蔵庫」。
冷蔵庫って妙に具体的だし、なんの例えにも使えなそうなフレーズ。
でもね、僕の大好きだったandymoriのクラブナイトの歌い出し
「冷蔵庫の前でなんだかつまらなくなって 散歩して見たけど それでもやっぱり沈んでしまう日は」
このえらく遠回りな言い回しで「気力が有り余ってるのに一人暮らしの部屋でウズウズしちゃってる感じ」を完璧に表現してくる天才っぷりに熱狂した4年くらい前、学生時代の僕。
その後、オザケンにゆるーくハマり、再び「冷蔵庫」に出会うことになります。
フリッパーズギター「恋とマシンガン」
「冷蔵庫のドアになら非常ベルが鳴り出す前に 時間かけてバター塗るさもっと素直に僕が笑えるから」
うん。意味不明。そのあとの「ダバスパパラス」ってスキャットに力入りまくってる感じもわけわからん。
「冷蔵庫」や「非常ベル」がなんの隠喩なのか、暗喩なのか、はたまたモデルになっている映画にそういうシーンがあるのjか。考えるだけで頭がこんがらがってゲボ吐きそうになります。
でもこんなに「ありとあらゆる場面をおしゃれに演出するBGM」ってない気がする。
現代でいうとサチモスのstay tuneとかがそれに当たるのかな?俺はあんまり好きじゃないけど。
で、また今日「冷蔵庫」に出会ったんですけれども。正確には出会ったというより気がついてハッとしたというか。
井上涼「赤ずきんと健康」より最後の曲。
「冷蔵庫 開けたのも この右手を 伸ばすのも めたらやたらと 歩くのも 真夜中に 走るのも」
10年くらい前でしょうか、少し話題になったので知っている人もいるかもしれません。
シュールすぎる絵柄と驚異的な中毒性を併せ持ったミュージカルアニメーション「赤ずきんと健康」。
これを作った井上涼さんという方はゲイをカミングアウトしているマルチアーティストです。
この歌声から想像がつくようなぶっちゃけちょっと冴えないビジュアルとは裏腹に、大学生の時にカミングアウトし、メッセージ性の強い作品を創作し続けています。特にLGBTをテーマにした「確信」という楽曲、というか映像作品?はめちゃくちゃ刺さります。
昨今のLGBTのあり方みたいなものに関して思うところはたくさんあるのですが、これは理屈こねるでお話しするとして。
この歌詞にフォーカスして見ますが、抜き出した全ての単語が何かの暗喩であることはほぼ間違いないと思います。
ストーリーも前半はメタボリックシンドロームをポップに取り扱っていますが、最終的には脳が弱っていると結論づけます。
この精神的な病状が「心が弱っている」のではなく「脳が弱っている」と表現されるのが僕はとても好きです。
解釈が物理的かつ科学的で、克服可能なものである、と確信しているからこそこういう発想に至るんじゃないかなと。
これが女性のクリエイターや、ファッションメンヘラ系のアーティストなら間違いなく「心の病気」と表現するような気がします。
でまぁ、結局のところこの歌詞における冷蔵庫というのが何を表しているのかはわかりません。
それこそ冷たくなってしまっている心を、ストレートに表現することを嫌ってのワードチョイスかもしれませんし、はたまたこのストーリーとは関係なく、楽曲に込めたメッセージとして、自らカミングアウトしたことを「冷蔵庫を開ける」と表現したと受け取ることもできます。
しかしこればっかりはご本人に聞いて見ないとわかりませんし、井上さんは自分の内面にあるものを抽象的に捉えて、無意識的にこのような歌詞としてアウトプットしてるのかもしれません。
これからも「冷蔵庫」という歌詞を見るたびに僕は一瞬ドキッとしたり、また深く考えたり。
何かピンと来ることがあれば自分の曲にさりげなく使ってみたりするかもしれません。てかいつかすると思います。
まぁ難しいことは抜きにしても、空っぽの歌詞は書きたくないし、僕なんかは自分の歌が誰かに届いてどうこう、見たいのはそこまで考えない人間なので、少なくとも自分では納得していろんなものをクリエイトしていきたいなと思います。
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